私の名はライアン
言わずと知れた
エリート王宮戦士だ
かつては 天空の勇者と魔王討伐を果たしたが
一度も馬車から出る機会がなかったことは
誰にも知られていない
また 普段はモンスターとの戦いに明け暮れているが
今回は とある中高年女性から依頼を受け
その任に付いている
その依頼というのが
家に不審者が度々現れるので
始末してほしいというもの
しかし 私が見張りを始めてから
早3ヶ月
人っ子一人来やしない
聞こえてくるのは
猫たちのセックスによる
喘ぎ声ばかり
もしかしたら私を警戒し
不審者は姿を現さないのかもしれない
私も不審者を装えば
警戒心も緩まるだろう
たまたま私服を持ってきていて良かった
これで事態は変化があるはず
しかし考えが甘かったようで
やはり不審者は姿を現さない
猫たちのセックスは
より一層激しさを増している
まったく この家の猫はどうなっていやがる
飼い主に似たのか?!
とはいえ私もプロ
このまま引き下がる訳にはいかない
より不審者らしさを追求する必要がある
普段からコツコツ貯めていたプレゼンチケットは
このためにあるのだろう
これで誰が見ても
不審者にしか見えない
完璧だ
私はそう確信し
気が緩んだのか
そのまま深い眠りに落ち
次に目を覚ました時は
独房の中だった
スズメタウンは
今日も平和です